開発経緯・難航した設計
「純正の子供っぽい意匠とそのプラスチッキーな風合い(あくまで私の主観)をなんとかしたい」という一心で開発したのが今回のクロームライナーベゼルです。しかし純正のこの部品とその土台となるベゼル、単純なようで実に複雑な形状をしていて、設計は困難を極めました。
民生用3Dスキャナーが比較的安価に入手できる昨今ですが0.001mm単位での精度が要求されるシーンにおいてそれらは用を成しません。私たちIndicatorはあくまでアフターパーツメーカーですが、創業以来の信念として「純正レベルもしくはそれ以上の品質の追究」を掲げて参りました。ですので今回の設計にあたっては専門の三次元測定業者さんと連携し、高精度測定器を用いて金型用のデータを設計するに至りました。
注ぎ込んだリソースに見合う仕上がり
もちろん、「カクカクとした純正形状」から「とても気品溢れるラウンド形状」への意匠変更や、両サイド末端まで延長させたシャープなルックスの実現など、いくつもの原案から最高のものを選んでいます。また真夏の過酷な車内環境でも変質しない部材と表面処理方法の選定のために何度も繰り返し試作を重ねました(ちなみに純正ライナーが形成していた「水平対向ピストン意匠」はメタルゲージキットの両ディスプレイ間のクリアランスをキープすることで「メタル質感との対比」によってピストン意匠を残しております。86/BRZのアイデンティティですからね)。
その甲斐あってか、「純正オプションとして採用されても不思議でない」という水準の製品を完成させることができました。できるだけ多くの8型オーナーさんにこのクォリティを日々のドライビングで楽しんでもらえたらと思います。
ユーザー目線での開発とラインナップ
当初はライナー部分の上下2ピースの部品をできるだけ安価にご提供しようと考えていましたが、純正ライナーとの交換・位置合わせ・接着・固定が個人レベルではとても困難であると判断し、上下ライナーを純正ベゼルへセッティングして【ASSY】としてお届けする方法を選択しました。
価格設定の葛藤
実際のところ、この「安価だけど取り付けが超難しいライナー単体販売」か「少し値が張るけれど安心してポン付けできるASSY販売」かの判断にはとても悩みました。ただ、取り付けに失敗した状態で日々の運転を強いるのはとても心苦しいし、自分に置き換えて考えるととても切ない。なので、価格設定含むIndicatorの今回の判断に対し、みなさまからご理解いただけることを心より願っております。
3色展開に至った経緯
「自分だけのコックピット」を実現してもらう上で、「色」はとても大切な要素です。カラードレイヤーで照明色を変更するほかに色で個性を発揮できる部分は無いものか…と考えた時にこのライナー部分に着目しました。BRZのSTI Sportグレードのメーターに採用されている「レッド」をGR86でも楽しみたいし、メタリックブルーもSUBARUオーナーさん達の専売特許としてしまうのは勿体無い。ブラッククロームも問答無用に絶対格好いい!などと思索を巡らせる日々を送っておりました。
最終的に、クロームとレッドの2種展開で腹を括ったのですが、SNS上の投稿やDMで「ブルーも!!」という声がいくつかあり、急遽追加することとなりました。商品管理の苦労が増えることと色味の調整などでこちら側の負担が増えることは明らかなのですが、欲しいという方が声をあげてくれている以上、それにお応えするのがIndicatorのスタンスです。「ユーザーに寄り添ったメーカーでありたい」という一心です。
「色味」について
最後にレッドとブルーの色味に関して言及しておきます。
【レッドクローム】
写真や動画で実際の色味(目で見たままの色)を表現することがとても難しい色味です。この色をわかりやすい例えでいうと「クリスマスツリーに飾るあの赤メッキの球」を思い浮かべてもらうのが早いです。真っ赤でもないしピンクっぽくも無い、朱色まではいかないけれど「赤と濃い朱色の中間」という感じです。写真はクローム成分が飛んでしまってソリッドな赤にみえるかもしれませんが、【レッドクローム】と呼称するに値する風合いです。実物をみて「え!!??」となることは絶対ないので、ここはIndicator代表の私・ハタナカの眼力をご信頼いただければと思います。
【ブルークローム】
こちらはレッドに比べれば写真で表現しやすい部類です。「ほぼこの写真見たまんま」と思っていただいて間違いないです。ただ、実際の車内状況や見る時間帯によっては印象が異なるという点だけは念の為ご了承くださいますようよろしくお願いいたします。